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【日記】外出自粛ライフ2週目:二週間前に書いたスケジュール

スケジュール帳がこれほど機能しない日々を過ごしたことがあっただろうか...。一つ前の日記を書いていた3月13日には、今月末までにはバイト先の一連の仕事を覚え切り、みんなの足を引っ張らずに(そして怒られずに)動けるようになるだろうと考えていた。

それが2020年3月31日現在!
コロナウイルスの影響で私は3月23日からバイトを無期休業となり、同棲している彼も一日遅れで同じ宣告を受けた。一夜にして、二人揃って無職である。

そうは言ってもオーストラリア人である彼は二週間ごとに国から補助金が振り込まれるし、仕事を解雇されたわけではない。私も翻訳など在宅ワークの収入が細々とある。贅沢しなければ野垂れ死することもない。

そもそも、もはや贅沢が叶う生活環境ではなくなってしまった。ここオーストラリアNSW州では、3月23日(月)正午をもって「一部の必要不可欠でない活動・ビジネスの施設を一時的に閉鎖」された。これをもってパブ、クラブ、ジム、室内スポーツ施設、映画館、娯楽施設、カジノ、ナイトクラブは終日閉鎖され、飲食店は持ち帰りと宅配のみ営業可能となった。
これでどう贅沢しようと言うのか!なんの特権も、テーブルの下を滑らせる札束も持たない一般庶民の私にはわからない。

ロックダウンが始まって一週間、スーパーへの買い物がちょっとしたイベント化している。ただ街中をフラフラするのも気晴らしだろうが、いろんな不安が影のようについてくるので散歩は朝に一度だけ。1日の大半は何をしているのかと言うと、仕事の連絡が来たら稼働し、あとはYoutubeNetflixをザッピングしたり本を読んだり。それから、数年ぶりに絵を描き始めた。夏休みの小学生のような生活である。

2月の頭、1ヶ月前の私は新しい仕事と新しいライフスタイルにワクワクしていた。
3週間前の私は、慣れないバイトでの失敗と反省に意識が支配されていた。
2週間前の週末には今後半年の目標を立て、経済的な見通しに沿った生活スケジュールを組んだばかりだった。

おそらく私はもうあのバイトには戻れない。

オーストラリア政府の見通しでは、最低でも6ヶ月はこの状態が続く見込みだと言う。バイト先の飲食店が通常営業を再開しても、しばらくはスローな運営が続き、アルバイトへ割ける人件費は多くはないだろう。

そして5日前、急遽私たちの引越しが決まった。
彼の家族が所有する小さな家に住まないかと提案されたのである。家賃を節約できることはもちろん、今住んでる部屋より広い上に新しい。買い物には少々不便な場所ではあるが、5分車を走らせれば市街地に出る。私たちは、この申し出をありがたく受けることにした。

1週間前の私は、このロックダウンの深刻さがよくわかっていなかった。
豪政府は「6ヶ月」とは言いつつも、3ヶ月後くらいには元の生活に戻るのではないかと思っていた。楽観的に捉え、もし本当に3ヶ月後に自粛が解禁されたとしても、私はもうこの部屋にいない。この街にいない。

1ヶ月前、いや2週間前まで数マイクロも思いもしなかった流れで、未来へ動いている。それがただ不思議でならない。2週間前にシフトやら今月中にやりたいことやらを書き込んだ自分のカレンダーが滑稽に見える。なぜ、思い通りの明日が来るだろうと思い込んでいたんだろう。

しばらく混乱状態が続くのは誰の目にも明らかで、誰もが毎日不安を感じている。今までの暮らしに固執してはいけないのだろうな、と漠然と思う。波乗りのように、来る波に合わせて上手いこと板を滑らせて行かなきゃいけないんだと思う。波に抗い過ぎれば海に落ちる。もしかしたら稀代のビッグウェーブに乗れる日もあるかもしれない。
ボードをまたいで群青色の波間に脚をつけ、とぷとぷ揺れる水平線を見つめながら、ゆらゆら波間を漂う日々である。